猫を保護する(つづき)

前回の続きを書きます。

「ダンボールが無いってことは、保護しない方がいいってことじゃないのか」と、ふと頭に浮かんで、自分の動きが止まってしまいました。

里親を探すのはとても難しいことだと今までの経験でわかっているし、うちで飼うとしたら、病気になった時の通院、看取りをさらに歳を重ねた自分が耐えられるだろうか。そもそも猫はこれ以上飼わないと決めたではないか。。

あー自分は煮詰まっているなと感じて、一旦夫に投げてみることにしました。

「放っておくと死にそうな子猫がうずくまっていました。保護するべきでしょうか?」(メール送信)

だんな「どこで?」
私「歩いて10分のところ。手ぶらだったからとりあえず帰ってきた」

メールの返事はしばらく来ませんでした。通勤途中で運転中ですから、そりゃそうだ。

また私はひとり考え込みました。
あの子猫、かなり厳しい状況だったし、行って保護してもすぐ死んでしまうかもしれない。いや、もう死んでいるかも。
わざわざ辛い思いをしに行くだけなんじゃないか。ならこのまま行かない方がいいのではないか。

家の中でしゃがみ込み、どんどん消極的な気持ちになっていきました。

思考停止。。(朝ごはんがまだだった)

そこで返信が来ました。
「はぐれた可能性はないかな?助けてあげたいけどね。」

「助けてあげたい」「けどね」?
けどねってなんだろう。ああ、おそらく自分が行動を起こす当事者ではないから命令形にならないように私に配慮してくれたのかな。
では、だんなは「助けてあげたい」という気持ちであると理解していいだろう。

私自身はどうだろう?あとは自分の気持ち次第。助けたいのか?助けたくないのか?どうだろう。やっぱり助けたい。助けに行こう!なんだか分かりませんが、急にバチッと心が決まりました。

そうなると我ながら動きが速かったです。
頭が回らなくなっていたので牛乳を飲み、だんなに「保護しに行く」とメールし、
これでいいや!と洗濯用のバケツの中身をひっくり返し、ペットシーツとタオルを敷き、ダンボールの代わりにしました。
財布の中身を確認し、携帯を持ち、使い捨て手袋を持ち、「やる!」と気合を入れて出発しました。

走ったり、早歩きしたり(走り続ける体力が無い)やっと到着しました。
すると、死んでるかもと思っていた子猫が、もと居た歩道の端のほうから真ん中まで出てきていました。
動けるんだ、よかった。
駆け寄り右手だけ手袋をして、おいで〜と猫をすくいあげようとすると、サカサカーっと逃げていってしまいました。

思いの外動けるんだなぁ。

よし、もう一度。いや待てよ。車道に飛び出たらあぶないぞ。
そーっと車道側から回り込み、手を伸ばすと、またサカサカと逃げていき、今度はフェンスの向こうのよその駐車場に入りそうになりました。
いやいや、待ってくれ、敷地内に入るとまた面倒なことになる。慌てて両手で子猫を捕まえました。
左手は素手でしたが、もうそんなことに構っていられません。手は後で洗えばよし。

バケツに入れるともう逃げようとはせず、ぐったりしています。具合悪いのに力を振り絞って逃げようとするから・・。

そこから歩いてちょっと行ったところに、たけのこと通った動物病院があります。
診療時間前でしたが、とりあえず向かいました。着いたときは8時10分。診療開始は9時。一刻も早く診てもらいたい。
早すぎるけど、ご迷惑だろうけど、インターホンを押させてもらいました。(お勧めできることではありません)

ありがたいことにすぐ診てもらえることになりました。本当にありがとうございます(><)

もろもろの検査をしていただき、猫エイズ、猫白血病はともに陰性、貧血はあるものの内臓も問題なし、まぶたは癒着していましたが先生が切り離してくれました。今まで見えていなかったようです。そりゃ怖かったろうねぇ。
体にはノミがいて、お腹の虫もいました。

ブドウ糖を飲ませてもらって、血糖値が上がって動けるようになったら、子猫はとにかくわたしから逃げようとジタバタしました。保護してあげたのはわたしなのにさ。でも助かってよかった。ほんとよかったよ。

ただ、さくたの幸せと健康も守らなければいけません。色々と考えて、子猫はしばらく病院に預けて治療してもらうことにしました。その間にどうするか決めて、体制を整えることにします。

病院を出たらほっとして、口からフシューっと魂が出て行ったように気が抜けて、フラフラでした。



お留守番していたさくたさん
お留守番していたさくたさん

猫1匹ですが、ひとつの大事な命。引き受けるからには覚悟が必要ですし、お金もかかります。
同居猫にも影響がありますし、人間の生活習慣も変えなければいけない部分が出てくるでしょう。

今回保護した子猫がどういう経緯であの場所にいたのか分かりませんが、どうか辛い思いをする子猫が1匹でも減りますように。